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側弯症に対しての保存療法

運動指導を行っていると側弯症のクライアントの方に相談される機会も多いかと思います。

しかし、十分なアセスメントを行わずに運動指導を行ってしまうことで、逆に症状が強くなったり、側弯の悪化につながる可能性もあります。

 

そこで、今回は側弯症の方へ運動指導を行うにあたり知っておくべき側弯症の保存療法についての情報をお伝えします!

側弯症の運動療法のポイント

1. 軸の伸長の意識

2. 修正方向の動き

3. 呼吸力をつける

4. 生活習慣の改善

5. 装具や足底板などの使用

1.軸の伸長の意識

 

側弯症の進行予防の重要なポイントは髄核、椎体の圧迫力(潰れ)を取ることです。

私たちが常に受けている重力に負けないようにするためには常に上に伸びる

「軸の伸長(エロンゲーション)」の意識が非常に重要です。

軸の伸長の感覚を得るためには懸垂や逆立ち、頭頂で物を押して伸びるなどが有効です。

2.修正方向の動き

 

脊柱の動きを促す準備として、短縮して柔軟性の低下している凹側のストレッチを行います。 機能性側弯症の場合は原因動作と逆の動きを、 構築性側弯症の場合は変形の逆の動きを

エクササイズとして提案します。

毎日の歯磨きのようにエクササイズや体のケアを習慣化させ継続することも非常に重要です。

3.呼吸力をつける

 

矯正方向への動きを促すのに合わせて、呼吸を使って胸郭自体の動きを出すことが重要です。

胸部の凹側を広げる際にしっかりと呼吸をすることで肺を広げて内圧を高めることで

重力に負けない力をつけることが重要です。

4.生活習慣の改善

 

日常生活の中での無意識の癖や姿勢によって、変形を増悪させてしまう場合があります。

下の写真のような姿勢では、胸部の右凸を助長する場合があります。

例えば椅子に座るときには力を抜いて脱力せずに坐骨で座り骨盤を立てて

重力に負けないように伸びておくことを意識しましょう。

体の左右へのシフトなどの癖もあれば修正します。

勉強などで姿勢が悪くなる際は傾斜する台などを活用することもおすすめです。

5.装具やインソールの利用

 

運動と併せて、装具の使用も積極的に検討します。

装具により側弯の進行の予防や改善の可能性があります。

装具には3Dと伸長を含めた修正が可能なものがおすすめであり、

シュロス法の原理に則って作られたゲンシンゲン装具などが勧められます。

また、脚長差などで骨盤傾斜や腰椎弯曲の増悪がある場合はインソールの使用を検討します。

思春期特発性脊柱側弯症に対する最新の保存療法 -ゲンシンゲン装具とシュロスベストプラクティスプログラム(運動療法)-

まとめ

・運動、生活習慣の改善、装具の使用の3つの要素をバランスよく行う

・装具と習慣で脊柱の圧縮方向の力を取り除き、

 運動で筋力をつけて体幹の剛性と脊柱の安定性と柔軟性を高める。

・身体のアセスメントを踏まえた指導が必須。専門家の意見も仰ぎながら進める。